KKさん(30代女性 育児休暇中)

症状
両目のピントが合わない(若年性老眼)、耳鳴り、頭重感、吐き気、不安症

9か月前に出産、現在は育児休暇中。昨年の10月頃、子供の調子が悪くなり、心配で夜もよく眠れない日々が続いた。その頃から、両目のピントが合わなくなり、首肩がひどく凝るようになった。時々、吐き気がして、不安感が続くようになった。眼科も3件行ったが、極度の眼精疲労では?春になれば自然に良くなると言われただけだった。逆に、徐々に症状は悪化している。


KKさんに、視力を聞いてみると、仕事の時にかけていた、遠くが凄く良く見える「強い度数のメガネ」をかけていることが分かりました。さらに、コンタクトレンズも併用していました。育児で睡眠時間が不規則なため、コンタクトレンズを夜つけたまま仮眠を取ったり、昼夜問わずコンタクトレンズを装用して生活しているとのことでした。コンタクトレンズは、両眼1.5に合わせた度数の強いものでした。

KKさんのように、30代前半でピント調節機能が著しく低下する例は、一般的ではありません。近くにピントが合わせづらくなる、いわゆる老眼は40代以降に起こる症状と言われてきました。しかし、近年は様相が異なります。当院では20代、30代でピント調節不全を生じる「若年性老眼」を来した患者さんを治療しています。

多くの例は、強すぎる眼鏡・コンタクトレンズを長期使用し、さらに精神的ストレスや目の酷使が重なることで生じたものと思います。特に、スマホを近距離で長時間見続けるという習慣は、ピント調節機能に著しく負荷をかけます。

また、女性に多い眼精疲労というものがあります。女性は生理や妊娠・出産、授乳、更年期など、ホルモンバランスによって、視機能や涙液分泌に影響が出やすいからです。特に、出産後、育児に奮闘する最中、育児ストレスや睡眠不足なども重なり、強い眼精疲労を来すことがあります。

KKさんの治療は2週1回のペースで行いました。また、眼鏡やコンタクトレンズの度数が合っているか、眼科医にもう一度相談して、度数を調整してもらうアドバイスしました。1年間の治療で、ほぼピント不全の症状は消失し、それに伴い目の痛みや首肩のこりが軽減しました。現在は、職場に復帰して、仕事と子育ての両立に奮闘されています。