緑内障と鍼治療
当院では様々な眼疾患に対する鍼治療を行っています。その中で最も多いのが緑内障の患者さんです。当院では主に2つの目的に応じて、患者さん一人一人に適した治療を行っています。治療費用は1回8,500円(税込)。治療は予約制(TEL 03-5980-7511)です。
1、緑内障疑いの方
健康診断や眼科検診にて「視神経陥凹」の疑いがあり、特に点眼治療の対象とはならないが、経過観察が必要と言われている方。いわゆる緑内障の疑い、緑内障予備軍という段階の方です。
近年の眼科医療において、緑内障はOCT検査の普及により、超早期の段階で診断されるようなってきています。また、強度近視であったり、緑内障の家族歴があると、緑内障の発症リスクという観点から経過観察が行われる場合も多くなってきました。
当院では、このような場合に、眼精疲労治療や心身のストレスを緩和する治療など、発症リスクの軽減をような治療を行っています。特に眼精疲労の軽減、眼球への血行促進、視神経の滋養、冷え性などの体質改善は、発症を予防する意味においては気に留めておきたい所です。
2、点眼治療だけでは眼圧が安定しない方
すでに緑内障の診断を受けており、継続的な治療を受けているが、視野の欠損に進行が見られる方。緑内障の点眼薬の効き目が不十分で、眼圧をもう少し下げたほうが良いと医師に言われている方。
緑内障の点眼薬はプロスタグランジン製剤やβ遮断薬など、様々な種類があります。また、近年では多剤配合薬なども発売され、点眼液の選択肢は増えてきています。一方で、刺激も強いので、点眼薬の種類や回数が増えると、角膜や瞼に炎症を起こすなどの問題を生じることがあります。また、点眼薬を刺し続けても、緩やかに進行していまうケースもありますので、眼圧を安定させ、長期的な進行を予防することが大切です。
もうこれ以上点眼液を増やせないと医師に言われた方で、点眼療法に鍼治療を併用することで、今まで不安定だった眼圧が、長期的な安定を得られている患者さんもおります。
鍼治療による視神経への血流促進
近年、正常眼圧緑内障は視神経への血流不足で起こることが解ってきています。眼圧が正常であっても、また点眼薬を使って眼圧は下がっているのに、徐々に視野欠損が進んでしまう。
このように正常眼圧緑内障では眼圧のコントロールが比較的良好でも、症状が進行することがあります。それは網膜や視神経への血流不足が関与している場合があり、緑内障の進行には眼球への血流障害が関与すると言われています。
特に体質的に目の血管が細い場合や、動脈硬化などで血管が狭小化している場合、また血圧が低く血液を抹消へ送る力が弱い場合などでも視神経への血流不全が起こる場合があると言われています。
当院では、鍼治療によって網膜・視神経への血流を促進する治療を行っており、良好な結果を得ています。
鍼治療による眼房水循環の改善
眼球の内部は房水(水分)と硝子体(ゲル状液)により満たされています。眼圧は、房水の分泌と吸収のバランスによって、通常10~21mmHGの間で保たれています。
これを房水循環と言いますが、この房水循環は、さらに全身の血液循環(動脈圧と静脈圧の差)に影響を受けています。
この 房水は、毛様体に流れる動脈の圧力(眼内動脈圧)によって血管から漏出する形で生成されます。毛様体から分泌された房水は水晶体と虹彩の間隙を通り隅角にあるシュレム管に流れ込みその後は静脈に吸収されます。
このとき、静脈の圧力(上強膜静脈圧)が高いと房水の吸収が不十分となり、眼内の圧力が高くなります。これは静脈内の圧力が上昇した場合、静脈の毛細血管への水分吸収が減少し、水分の停滞を引き起こすためです。
一般的に、末梢の静脈の圧は、先の血管内の血液がうっ滞することで上昇します。 ですから、上強膜静脈圧(房水静脈)は、前毛様体静脈、眼静脈、海綿静脈洞などのうっ滞によっても上昇します。
尚、頚部が圧迫されると眼圧は上昇する場合がありますが、これは頚部の内頸静脈が圧迫されると、房水が吸収される静脈系の圧が上昇するからと考えられています。
当院では鍼治療による眼窩部、顔面部及び全身の静脈還流の促進により、眼圧を下げる試みを行っています。 また、鍼治療は、組織内における血液循環や水分代謝を促す作用を有しています。
当院では、この鍼治療の代謝効果を眼球内組織に作用させることで、房水循環を促進する専門的な治療を行っています。 当院の緑内障に対する鍼治療は、薬剤ではコントロール不要な難治性の緑内障を罹患している施術者が、自らの目の眼圧を下げるために行ってきた自験例を実際の治療に応用したものです。
眼圧を上昇させる要因
・高血圧、動脈硬化、肥満等の生活習慣病
・糖尿病
・加齢的変化
・血管を収縮させるようなストレス
・寒冷刺激
・カフェインの大量摂取
・喫煙
・疲労や睡眠不足
・大量の水分摂取(一気に飲む場合)
◆眼圧の日内変動
午前中は比較的に高く、夜はやや低下する傾向があります。また、夏に低く,冬に高くなる傾向があります。
緑内障に対する鍼治療
緑内障は眼圧のコントロールが何よりも大切です。緑内障治療のための点眼薬は様々な種類もあり高い効果が得られます。ですから、当院では鍼治療を受けていても、医師の指示のもとに緑内障の点眼薬をお使いいただくことを推奨しております。
ただ、患者様の中には眼圧を下げる点眼薬や手術によってもコントロールが難しい緑内障を抱えた方がおられます。この様な場合は、鍼治療を併用することで、現在使用している点眼薬の効き目が向上するなどにより、眼圧が安定する例もございますので、お困りの方は一度ご相談ください。
また、緑内障による見えづらさや眼精疲労の解消にも当院の鍼治療は効果が得られる場合がございます。
【治療費用】
初回 11,000円 (所要70~90分)
再診 8,500円
TEL 03-5980-7511 (予約制)
HP http://www.hari-care.jp
緑内障とは
緑内障とは、眼の視神経に異常が起こることで、視野や視力に障害を起こす病気です。緑内障による視神経の異常は、眼圧(がんあつ)の上昇や、また眼圧が正常でも視神経が圧力に耐えられなくなり障害を受けることで起こります。
緑内障の症状
緑内障の症状には、急に目が痛くなり視界がかすみ、頭痛や吐き気を起こす急性の緑内障と、ほとんど自覚症状のないまま病状が進行してしまう慢性の緑内障があります。緑内障といえば「目が痛くなったり頭痛がする」と思われる方もおりますが、実際は、自覚症状のないタイプの緑内障が多いようです。
緑内障で障害を受けた視神経は、元に戻ることはありません。ですから、できるだけ早期に発見し、それ以上進行させないことが大切です。
眼科では、眼圧検査、隅角検査、視神経の検査や視野検査により、早期に発見が可能です。 また、近年ではOCT検査によって超早期の緑内障も発見可能となっています。
緑内障のタイプ
開放隅角緑内障
角膜と水晶体の間にある房水が、うまく排出されないことで眼圧が上昇し、視神経に障害が起こります。このように、排出口は開いているのに奥の排出管が目詰を起こしている状態を開放型緑内障といいます。
正常眼圧緑内障
(NTG:Normal Tension Glaucoma)
眼圧が正常でも相対的に視神経の強度が弱い場合、視神経が障害を受け萎縮します。これを正常眼圧緑内障といいます。近年、視神経へ血流不全が視神経萎縮の要因のひとつと言われており、緑内障の進行には眼球への血流障害が関与すると言われています。また、正常眼圧緑内障は、緑内障のうち8割を占めるといわれています。
閉塞隅角緑内障
正常な眼では角膜と水晶体の間にある房水が、生成と排出を繰り返しています。そして、そのバランスにより眼内の圧力が保たれています。しかし、この房水の流れが滞り、眼内に房水が貯まりすぎると眼圧が上昇し、視神経に障害を起こります。
緑内障の一般的な治療
緑内障の治療は、眼圧を下げることが基本です。眼圧を下げるには、まず点眼薬を使用しますが、眼圧が下がりにくい場合は内服薬を使用する場合もあります。その他、外来で行うレーザー治療や、入院で行う手術療法など、様々な治療があります。