睡眠は、生命にとって欠くことの出来ないプロセスです。私たちは、およそ人生の3分の1を睡眠に費やしています。睡眠は、私たちの心身の平穏を維持し、健康寿命を伸ばす、生命の源(みなもと)と言っても過言ではありません。

一方で、国民の5人に1人が何らかの睡眠障害を抱えていると言われています。睡眠の質は、年齢とともに低下していきます。また、10代、20代の若者にも、近年のデジタルストレスなどにより、不眠症や睡眠障害が急増していると言われています。

慢性的な睡眠不足は生活の質を低下させ、病気のリスクを上昇させます。

例えば、睡眠不足は、仕事の生産性や勉強の効率を低下させ、注意力が散漫となるため、危機回避能力も低下させます。イライラしたり、無気力になり、周囲の人間関係にも悪影響が出てしまうことがあります。良質な睡眠は、人生の幸福のバロメーターです。睡眠を改善すれば、人生が変わるかもしれません。

まずは知っておきたい睡眠の基礎知識 以下は、睡眠に関する雑学的な基礎知識です。若干、医学的な内容になっておりますが、よく眠れるようになるヒントが散りばめられています。

■睡眠負債(すいみんふさい)

睡眠不足が蓄積していく状態を睡眠負債と呼びます。しかし、どんなに寝ても睡眠量は溜まる事はないので、残念ながら睡眠の貯金はできません。つまり一日一日の安定した睡眠リズムの継続が大事です。

一般的な睡眠推奨時間は7時間と言われていますが、個人個人にとって必要な睡眠時間は異なります。まずは「自分に適した睡眠時間」を知ることが大切です。

■自分に合った睡眠習慣は?

睡眠習慣には、後にも述べますが、個人で異なる体内時計が大きく関与しています。皆さんも、自分が「朝型人間なのか?夜型人間なのか?」を自覚する機会は少なくないと思います。朝型か夜型かは、数百の遺伝子が関与しており、いわば改編が難しい体質的なものとなっています。これはクロノタイプと呼びます。

ですから、自分の睡眠体質を踏まえたうえで、正しい睡眠習慣を身につけることが、睡眠障害改善の糸口となります。

■眠らないと人はどうなる?

睡眠には「身体組織の修復」「脳の掃除(代謝)」「記憶の整理」「脳の休息」「免疫強化」など様々な働きがあり、それらは睡眠中になされるため、眠らないと10日で脳にダメージが生じると言われています。

■睡眠障害の4分類

(1)入眠障害・・・眠りに入るまでに時間を要する。
(2)中途覚醒・・・睡眠途中で何度も目が覚めてしまう。
(3)早朝覚醒・・・朝早い時間に目が覚めて、以後眠れなくなる。
(4)熟睡障害・・・睡眠時間にくらべて、ぐっすり寝た感じがしない。