様々な病気の治癒・寛解を目指すうえで、「質の良い睡眠」は欠くことのできない要素ではないでしょうか。
現在、鍼灸業界では、睡眠やメンタルケアの分野で、様々な臨床研究がなされています。最近では、頭皮への鍼刺激によって、セロトニンなどの「脳内ホルモン」の分泌が増幅することが分かりました。

また、頭皮、目や顔などの三叉神経領域への鍼刺激による脳血流の促進、手足のツボ刺激による自律神経調性効果などが、科学的にも実証(エビデンス化)されています。
当院は、最新の研究成果を基に、より実践的な「睡眠専門鍼灸」を行っております。不眠症・睡眠障害でお悩みの方は、是非ご相談ください。
睡眠鍼灸のエビデンス

一般的に、不眠症・睡眠障害に対する治療は、睡眠導入薬や睡眠改善薬による薬物療法が主となっております。一方で、薬には依存性を生じるものや、胃腸、肝臓や腎臓に負担がかかる場合が少なくありません。そのような中、世界では鍼灸による睡眠改善効果に注目が集まっており、各医療機関で様々な臨床研究がなされていいます。
2021年、鍼灸の本場中国にて「不眠症に対する鍼治療の睡眠および併存症状への影響」と題して、手足のツボへの鍼施術が、睡眠に与える効果ついて、臨床研究が行われました。
それにより、鍼灸治療後に患者さんの不眠における自覚症状が改善し、睡眠の質が改 善するという調査結果が得られました。
また、鍼治療は不眠症に対して有効であり、安全の高い補助治療であることが示唆されました。
鍼灸治療により、入眠潜時の減少(早く眠れる)、ノンレムレベル1(浅い睡眠)の割合が減少し、逆にノンレム睡眠レベル3(深い睡眠)の割合が増加した。という結果が得られています。
【引用元】Wang C, et al. Impact of Acupuncture on Sleep and Comorbid Symptoms for Chronic Insomnia: A Randomized Clinical Trial. Nat Sci Sleep. 2021;10;13:1807-1822
2022年、『睡眠中の自律神経機能に対する鍼治療の効果:と題し、鍼治療が睡眠の質に与える効果についての臨床試験が日本で行われました。
鍼治療によりツボへの浅い鍼刺激により、睡眠時の心拍数が低下し、特にノンレム睡眠時に副交感神経の活動が増加することが示唆されました。鍼治療によって、睡眠中の副交感神経の活動が増加するという結果が得られました。
【引用元】Nervous Functions During Sleep- Comparison with Nonacupuncture Site Stimulation Using a Crossover Design. J Integr Complement Med. 2022;28(10):791-798