なぜ、目は疲れるのか?
同じ環境で、同じ作業をしているにも関わらず、なぜ自分だけ、すぐに目が疲れてしまうのか?そのような悩みを抱えている方は少なくありません。

疲れ目や眼精疲労は、体質や個体差、生活環境など、様々な要因によって起こりますが、第一に考えるべきは視機能についてです。

どのような見え方で日常を過ごしているのか?近視や乱視の度数は?眼鏡やコンタクトの度数は?

つまり、目の疲労には「視力」が大きく関係しています。

視力の基本

人間の視力は2.0が最大と言われています。2.0 という視力は、10メートル離れたところの、僅か1.5mmの切れ目を識別できることを言います。(かつて、アフリカの先住民で4.0の人がいたそうですが、、、。)

視力1.0の場合は、5メートル離れた、1.5mmの切れ目を識別できることを示します。

ソーシャルディスタンスという生活スタイルが誕生し、強度近眼の状態だと2mの距離を保っての生活はすこし厳しそうです。逆に、テレワークをしている人が1.2見える眼鏡でパソコン作業をしていると、目は途端に疲れてしますうでしょう。

目の見え方を客観的に評価するには、屈折度数を知る必要があります。その度数によって、正視・近視・乱視・遠視に分類されます。視力は、角膜のカーブ水晶体のカーブ、及び目の奥行(眼軸)によって屈折度数が決まります。

光が網膜の手前で収束するのが近視です。自分で眼精疲労のケアを考える場合は、まず自分の視力がどのような状態なのかを把握してみてください。

正視・近視・遠視・乱視の眼軸

子供の近視

生まれたばかりの赤ちゃんは、視界がボヤボヤとしか見えていません。生後2か月になると物の形が分かるようになり、3か月も経つと両目で物を見れるようになります。生後6か月の赤ちゃんは、0.2ぐらいの視力を獲得します。1歳では物を立体的に見ることができるようになり、5歳で視機能は概ね完成します。さらに視機能は発達し続け8歳ぐらいで大人と同じレベルに達します。

そこで、一番気になるのは「子供の近視の進行」だと思います。これに関しては、様々な分野で研究がなされていますが、概して「極端に近くを見る生活(15cmより近く)を続けると近視が進む」というのは共通の見解です。もちろん個人差がありますし、遺伝的な要因も大きいと思います。尚、幼児期の遠視や斜視を見逃してしまうと、将来的に視力が出にくくなる弱視になってしまう場合や、両眼視機能が得られない場合がありますので、お子様の視力には注意が必要です。

そして、もう一つ言われているのが「子供に近視が増えている」ことです。今や小学生からパソコン、スマホやゲーム機を日常的に使用しますので、近視率が高くなるのはやむを得ないかもしれません。

大人発生近視

一方、大人発生近視という言葉がクローズアップされています。従来は成長が止まる20代に達すると、それほど近視は進まないと言われてきました。それが、今まで遠くが良く見えていた人でも、20代や30代になってから近視化してしまう、というものです。

近視は医学的には、眼軸が後方に伸びることが原因とされ、一度伸びた眼軸は元には戻らないと言われています。

正視と強度近視による軸性近視の図

近視度数によって眼病のリスクが上がる

近視は病気ではない、と言われます。しかし、強度に近視が進行し、眼軸が大きく伸びてしまう状態になると、白内障、網膜剥離、緑内障、網脈絡膜萎縮など、眼病のリスクが高まると言われます。

尚、近視を治す手術を受けて、遠くが見えるようになっても、伸びた眼軸はそのままの状態なので、注意が必要です。以下は、屈折度数と近視の度合いです。

+3 D強度遠視
+1 D遠視
+-0正視
-1 D弱度近視
-3 D(.25以上)中等度近視
-4 D中等度近視
-5 D中等度近視
-6 D(.25以上)強度近視
-7 D強度近視
-8 D~強度近視

屈折矯正度数とは

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例えば、眼科での視力検査では

  • 右目Vd=1.2(S-4.50 × C-1.50 AX180°)(R>G)
  • 左目Vs=1.5(S-3.00 × C-1.00 AX90°)(R>G)

と表記されます。

ちなみに、私の視力はメガネでは矯正不能なので、ノンコリガントという表記が付けられる。
Vd=0.04 n.c 

SはSphericalで-は近視、プラスは遠視を表します。Cは Cylindricalで乱視を、AXは乱視の角度です。

代表的な屈折矯正法

メガネ
最も一般的な矯正法です。近視、乱視(軸)、遠視、プリズム、遮光、非球面レンズ、多焦点レンズなど、様々な種類のレンズがあります。

コンタクトレンズ
ソフトレンズとハードコンタクトレンズに大別されます。

レーシック(LASIK)
Flap作成ののち、エキシマレーザーで角膜実質を蒸散させ、角膜の屈折率を変化させる屈折矯正手術です。効果は半永久的(不可逆的)です。メリット・デメリットがあり、レーシックによる深刻な後遺症が社会問題となっています。

フェイキックIOL(眼内コンタクトレンズ)
眼球内にある水晶体前面の虹彩に固定する形で、眼内レンズを埋め込む手術です。最強度の近視でも矯正可能ですが、眼球組織にメスを入れる必要があります。

オルソケラトロジー
夜寝ている間だけ、特殊な形状のハードレンズを装着する矯正方法です。日中は裸眼で遠くが見えるようになります。基本的に毎晩寝る前にコンタクトレンズを洗浄し、装着する必要があるので若干の手間を要します。海外では子供の近視用抑制目的で使用されるケースが多いようです。コンタクト装用を中止すれば徐々に元の眼の状態に戻ります。

視力回復トレーニング
視力検査表等を用いて、見る訓練を行う方法です。

サプリメント
ブルーベリー、ルテインが有名です。最近では様々な種類のサプリメントが販売されています。