当院は「難聴めまいの専門治療」を行っているため、原因不明のめまいを主訴に治療を受ける患者さんも多いです。
基本的には精神的ストレスや過労などで自律神経が失調しているケースが多いのです。近年では、PPPD 持続性知覚性姿勢誘発めまい等の新しいめまいの疾患概念が注目を集めていますので解説を加えていきます。また、睡眠薬や向精神薬の長期服用による浮遊感やめまい感でお悩みの方も多いです。まずは、めまいの主な原因です。
- 脳梗塞などで起こる危険なめまい
- メニエール病など内耳の浮腫みによるめまい
- 耳石などが原因で起こる良性頭位性めまい
- 前庭神経炎などを契機として起こるめまい
- ストレスや自律神経失調に由来するめまい(起立性調節障害など)
- 更年期障害やPMSなど女性特有のめまい
- PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)
- 椎骨動脈の圧迫などで生じる頸性めまい
- 化学物質やシンクハウス症候群などの環境由来のめまい
- 気圧や天候などに影響を受ける気象病めまい
- 安定剤や睡眠薬による副作用
- コロナ後遺症など
PPPD 持続性知覚性姿勢誘発めまい
持続性知覚性姿勢誘発めまいは、激しいめまいを初発として、その時の強いめまいが治まった後も、持続的に「浮遊性めまい(非回転性)」が日常的に継続して起こります。
特に、視覚情報(目)との関連が強く、
- 立ち上がったり、歩いている時、また運動時、視界・姿勢変動により浮遊感を生じる。
- スマホのスクロール画面や細かい文字、映像などの視覚系統から浮遊感を生じる。
- スーパーの陳列棚や人混みなど、複雑な図形や乱雑な景色を見ると浮遊感を生じる。
このように、視覚由来の平衡感覚は、耳と目、体幹からの3つの情報を小脳で統合しコントロールされています。何らかの原因で、その三者の連動が損なわれることで、めまいの症状が起こりやすくなります。
椎骨脳底動脈不全 椎骨動脈血流障害 頚性めまい
当院では比較的治療例の多い「椎骨脳底動脈不全性のめまい」などが挙げられます。近年、首と「めまい」の関連性に関する臨床研究も進み、「頚性めまい」という疾患概念が確立されつつあります。そこで今回は、椎骨脳底動脈不全症について解説します。
椎骨脳底動脈不全性のめまいとは?
症状は重く、回転性の「めまい」や浮遊性の「めまい」が長期間続き、吐き気などで食欲も減退し、日常生活に支障を来します。
また、首を一定方向へ捻る、傾けるなどの動作で、めまいが誘発されることもあります。病院で様々な検査を受けても原因がわからず、めまい止めやイソバイドなどの治療でも改善しない、難治性のめまいです。
そして、特に頸椎(首)に異常や疾患がある場合は、椎骨脳底動脈不全性のめまいが疑われます。原因としては、変形性頚椎症、頸部ヘルニア、後縦靭帯骨化症、ストレートネック、または重度の首や肩のこり、などが挙げられます。
椎骨・脳底動脈とは
心臓から出た血液は首を通り脳や感覚器へと送られます。首には主に「椎骨動脈」と「頸動脈」があります。このうち耳と大きく関係するのが椎骨動脈です。椎骨動脈は、連なる頸椎が形成する骨のトンネル(横突孔)を経路としています。
首の後部から頭蓋内に入ると左右の椎骨動脈は一旦、合流して1本の脳底動脈と名前を変えます。この合流地点の直ぐ先に左右に分岐する迷路動脈があり、これら左右の血管を通り内耳(三半規管)に血液が到達します。また、椎骨動脈・脳底動脈から、前・後小脳動脈という小脳へとつながる動脈が伸びています。
構造的に椎骨動脈が頸椎に強く圧迫されると、内耳や小脳への血流が不足してしまうという現象が起こる場合があります。
また、椎骨動脈の内空が動脈硬化により狭くなる場合も同様です。
つまり、椎骨脳底動脈不全性のめまいとは、内耳三半規管や小脳(身体のバランス保持や運動をつかさどる器官)への血流が一時的に不足し、その機能が低下することで起こる「めまい」ということになります。
不全という言葉はいささか重症さを感じますが、血流量の低下といったニアンスで良いと思います。最近では、椎骨脳底動脈不全性のめまいの重症例に対して頸椎を削る外科手術が行われる場合もあるようです。
当院では、鍼治療や頸椎徒手矯正による治療を行っており、著名な改善例もあります。首には基幹血管の他、頸神経、自律神経などの神経系の異常に伴って難聴・耳鳴り・めまいを起こすこともあります。首の不調と「めまい 難聴 耳鳴り」がリンクしていると感じている方は是非一度ご相談ください。
原因不明のめまいに対する鍼治療
- 1回 7,000円
- 初回は別途、初診料2,500円がかかります。
- 治療は予約制です。(TEL 03-5980-7511)
- 土日も診療しています(月曜休診日)