まず、心臓から眼球組織へと至る血管です。心臓から拍出された動脈血は眼球へと流れ「視活動」に必要な「栄養」と「酸素」が供給されます。活動を維持するエネルギーや自然治癒を促進するためには、眼球への豊富な血液が必要です。
心臓から頭部へと向かう動脈は「総頸動脈」と「椎骨動脈」の二つです。そのうち、目と大きく関わる血管は「総頸動脈」です。総頚動脈は「外頸動脈」と「内頚動脈」に分かれ、前者が顔面部体表へと向い、後者は頭蓋内に入り脳を栄養します。内頚動脈は脳へ到達する前に「眼動脈」を分岐し、眼球組織を栄養します。
総頚動脈→内頚動脈→眼動脈
眼動脈は幾重にも分岐し、眼球組織の様々な器官を栄養します。それでは個別に「ルート」と「役割」を見ていきましょう。
眼動脈
眼球を栄養する血管は「眼動脈」です。眼動脈は内頚動脈から分岐して、視神経に沿って走行し、視神経や網膜、眼球組織に張り巡らされています。眼動脈は「網膜中心動脈」と「毛様体動脈」に分かれます
網膜中心動脈
眼動脈は視神経乳頭部の約1.5㎝後方から視神経を貫き網膜中心動脈として網膜内層の視細胞などを栄養します。
網膜中心動脈分子閉塞
眼底出血
内頚動脈狭窄による眼球虚血症候群
毛様体動脈(脈絡膜動脈)
毛様体動脈はルートによって3つに分けられます。前方と後方、後方血管は短と長にわかれます。
短後毛様体動脈
眼動脈は短後毛様体動脈を分岐し視神経乳頭側副で視神経を貫き視神経乳頭を栄養し、さらに脈絡膜内を走行しながら脈絡膜毛細管板を経て、網膜の外壁である網膜色素上皮などを栄養します。
長後毛様体動脈
眼球後方の強膜を貫き脈絡膜内を走行し、前眼部に至り毛様体や虹彩を栄養する。大虹彩動脈輪などを形成する。
前毛様体動脈
眼球前側面から強膜を貫き、毛様体や虹彩の血管網と合流する。