眼鏡やコンタクトは、度数が強すぎても疲れるし、弱すぎて疲れます。その理由は以下の通りです。

  • 度が強すぎると、頑張って近くにピントを合わせようとして、眉間や首に余計な力が入る。近くを凝視する際は「寄り目」にする必要があるので、必然的に眉間に力が入る。
  • 度数が弱すぎると、遠くを見る際に目を細める癖がついて、こめかみに余計な力が入る。瞼はジッパーのように外側(耳側)から内側に向かって閉まる。そのため目を細める際は眼輪筋の外側(耳側)を強く収縮させることになる。

はたして、どのぐらいの度数が良いのでしょうか?(基本的に、コンタクトレンズの購入は医師の処方が必要です。)

強すぎる度数の眼鏡や、合っていないコンタクトレンズを長期間使用していると、眼精疲労が悪化し、自律神経失調を来すことがあります。めまいや吐き気などを引き起こす、いわゆる映像酔いの症状です。眼鏡やコンタクトレンズを変えてから、なんだか眼精疲労がつらくなった方、原因不明の体調不良で悩んでいる方は必見です。

さて、私たち日本人は、視力に関して、「1.2という数値を理想」と考える人が多いと思います。また、多くの方が1.2の裸眼視力へのあこがれを抱いています。眼鏡やコンタクトを付けるのは煩わしい、何もつけなくて1.2見える人がうらやましい・・・と。

確かに、車を運転する時、スポーツをする時、勉強で黒板を見る時、旅行にいった時、災害緊急時など、遠くが見える目は便利です。

また、子供の頃から、1.2が良い目、0.01が悪い目、という漠然としたコンセンサスの中で生きて来たことでしょう。1.2という数値は、目に病気が無いかをチェックする上では非常に重要です。

しかし、どのぐらいの視力が生活しやすいか、どのような度数にすれば疲れにくいかは、実は人それぞれで、住んでいる地域や生活スタイル、年齢や職業、性格や趣味など、多くの要素を考える必要があると思います。

また、妊娠・授乳中などは視力度数が変化する場合がありますので、子育て中に気づかないうちに強い眼鏡ですごしていたというケースもあります。

特に現代社会は、パソコンやスマートフォンの普及で、一日のうち手元を見ている時間が非常に長い、という「新たな時代背景」が生じています。パソコン、ゲーム機、iPad、スマホゲームやSNS、など手元の小さい文字や動画を、ほぼ一日見ている人も少なくありません。

そして、一つ言えることは、遠くが良く見える目(裸眼、眼鏡、コンタクト)で、近くを見続けていると、「目は疲れる」ということです。遠くが見えすぎる状態が続くと交感神経が過度な刺激を受け、自律神経のバランスを崩してしまいます。

視力と自律神経の関係

凄く目が疲れるという自覚がある方は、まず自分の視力(屈折度数)を知って、眼鏡やコンタクトレンズが合っているのかを、もう一度チェックすることをお勧めします。少なくとも近視が強い、乱視が強い、乱視の角度が普通と違う、実は遠視、左右の差が大きいなど、自分の目の特性を知っておくことは大切です。

一般的に、私たちが自分の屈折度数を知るには眼科や病院で検査を受け、教えてもらう必要があります。普段使っている、コンタクトのパッケージに書いてある数値や、眼鏡を買った時に付いているレンズデータの数値によっても自分の屈折度数を知ることができます。これはあくまでも、弱めの度数で作っている場合や、そもそも度数が合っていない場合もあるので、本来の屈折度数とは異なります。

Visual Working Mangmentという考え

働く人々にとってコンタクトレンズは利便性の高い矯正方法です。しかし、朝起きてコンタクトを付けて、それを夜外すという生活は、途中でコンタクトを付け替えない限り、一日中同じ矯正度数で過ごすことになります。1.2という視力は車の運転や通勤には便利です。

ですが、もし日中は席を立たず、ずっとPC画面を見ているなら、1.2の視力である必要がありません。0.3~0.7ぐらいの視力のほうが目が消費するエネルギーは少なくて済みます。これは、もちろん一般論ですが。つまり、シチュエーションによって、目の使い方に合った矯正度数を、選択するのが理想の視力といえるかもしれません。

どのような視力で過ごすかは、眼精疲労の予防に対して、非常に重要です。

視力の基本

人間の視力は2.0が最大と言われています。2.0 という視力は、10メートル離れたところの、僅か1.5mmの切れ目を識別できることを言います。視力1.0の場合は、5メートル離れた、1.5mmの切れ目を識別できることを示します。

ソーシャルディスタンスという生活スタイルの誕生し、ド近眼の状態だと2mの距離を保っての生活はすこし厳しそうです。

目の見え方を客観的に評価するには、屈折度数を知る必要があります。その度数によって、正視・近視・乱視・遠視に分類されます。視力は、角膜のカーブ水晶体のカーブ、及び目の奥行によって屈折同数が決まります。光が網膜の手前で収束するのが近視です。自分で眼精疲労のケアを考える場合は、まず自分の視力がどのような状態なのかを把握してみてください。

正視・近視・遠視・乱視の眼軸

子供の近視

生まれたばかりの赤ちゃんは、視界がボヤボヤとしか見えていません。生後2か月になると物の形が分かるようになり、3か月も経つと両目で物を見れるようになります。生後6か月の赤ちゃんは、0.2ぐらいの視力を獲得します。1歳では物を立体的に見ることができるようになり、5歳で視機能は概ね完成します。さらに視機能は発達し続け8歳ぐらいで大人と同じレベルに達します。

そこで、一番気になるのは「子供の近視の進行」だと思います。これに関しては、様々な分野で研究がなされていますが、概して「極端に近くを見る生活(15cmより近く)を続けると近視が進む」というのは共通の見解です。もちろん個人差がありますし、遺伝的な要因も大きいと思います。尚、幼児期の遠視や斜視を見逃してしまうと、将来的に視力が出にくくなる弱視になってしまう場合や、両眼視機能が得られない場合がありますので、お子様の視力には注意が必要です。

そして、もう一つ言われているのが「子供に近視が増えている」ことです。今や小学生からパソコン、スマホやゲーム機を日常的に使用しますので、近視率が高くなるのはやむを得ないかもしれません。

大人発生近視

一方、大人発生近視という言葉がクローズアップされています。従来は成長が止まる20代に達すると、それほど近視は進まないと言われてきました。それが、今まで遠くが良く見えていた人でも、20代や30代になってから近視化してしまう、というものです。

近視は医学的には、眼軸が後方に伸びることが原因とされ、一度伸びた眼軸は元には戻らないと言われています。

正視と強度近視による軸性近視の図

近視度数によって眼病のリスクが上がる

近視は病気ではない、と言われます。しかし、強度に近視が進行し、眼軸が大きく伸びてしまう状態になると、白内障、網膜剥離、緑内障、網脈絡膜萎縮など、眼病のリスクが高まると言われます。

尚、近視を治す手術を受けて、遠くが見えるようになっても、伸びた眼軸はそのままの状態なので、注意が必要です。以下は、屈折度数と近視の度合いです。

+3 D強度遠視
+1 D遠視
+-0正視
-1 D弱度近視
-3 D(.25以上)中等度近視
-4 D中等度近視
-5 D中等度近視
-6 D(.25以上)強度近視
-7 D強度近視
-8 D~強度近視

屈折矯正度数とは

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例えば、眼科での視力検査では

  • 右目Vd=1.2(S-4.50 × C-1.50 AX180°)(R>G)
  • 左目Vs=1.5(S-3.00 × C-1.00 AX90°)(R>G)

と表記されます。

ちなみに、私の視力はメガネでは矯正不能なので、ノンコリガントという表記が付けられる。
Vd=0.04 n.c 

SはSphericalで-は近視、プラスは遠視を表します。Cは Cylindricalで乱視を、AXは乱視の角度です。