当院は2009年に板橋区の大山で開院して以来、本年で12周年を迎えます。一昨年の7月には店舗をJR埼京線の板橋駅前に拡張移転し、鍼灸師3名、ベット6台体制で治療にあたっています。設立当初は夫婦が運営する個人治療院という形でしたが、現在は法人化し、組織的な運営にシフトしようとしています。


◆当院の鍼灸療法の特徴

当院は筋硬結に対して、しっかりと鍼を刺入する治療を行っています。硬結が深部にあれば、必然的に鍼も深く刺します。接触鍼や浅刺しの鍼をベースに治療を行って来た方には、かなりのギャップがあるかもしれません。

一般的に鍼治療は中国鍼、経絡治療、積聚治療、トリガーポイント鍼灸、スポーツ鍼灸、美容鍼灸など、様々な手法や流派がありますが、当院は「筋肉のこり(硬結)に的確にアプローチする「現代鍼灸」を治療のベースにしています。

ですから、脈は診ますが、そこから証を立てて臓腑の治療を行うといった経絡治療を行いたい鍼灸師の方には不向きな職場だと思います。

よく面接時に「こりに鍼をする治療(標治法)で病気が治るのか?」という質問を受けますが、このような方は「こり」というものの本質を理解できていないのだと思います。「こり」という言葉は漠然としておりますので、伝えるのが難しいのですが、どちらかというとトリガーポイントやモーターポイントと言ったほうが良いのかもしれません。ただし、これらの言葉をもっても、少し足りない気がします

私たちは、「こり」は万病の源、という考え方に基づいて治療を行っています。

<<例えば>>
●身体全体のこりの状態を診ることで、病気の原因を推察できる。
●こりを、しっかり取ってあげると自然治癒力が高まる。
●血管や神経を圧迫しているこりを取ることで、患部に血流を促すことができる。
●こりを取ることで「むくみ」や「冷え」が解消する。
●こりを取ることで自律神経を整えることができる。

つまり、こりを的確に治療することで、病気が治癒へ向かう契機を引き出すのです。私たちは、「1ミリ以下のこり」を的確に捉え、押手がぶれないように、そのこりの核に鍼を刺して止める、そんな鍼を毎日、何千本も打っています。

◆当院で使用している鍼について

基本的に大多数の患者さんにNEOディスポ鍼を使用しています。シリコンコーティンされた鍼は比較的簡単に打つことができますが、治療的な刺激が得難い面もありますので、当院ではあまり使用していません。

NEOディスポ鍼は主に寸3-2番を使用しています。細く感じる場合もありますが、しっかりとした押手を作り、押手厚で刺激を調整することで、重度のこりにも、十分対応可能だと思います。筋に厚みがある部位には寸6や2寸を使用します。 鍼の手技は単鍼と置鍼を組み合わせて行いますが、一人の患者さんに、20本~30本の鍼を使用することが多いです。患者さんによっては1回の治療で200本位の鍼を使用する場合もあります。

◆マッサージについて

当院にはマッサージ・指圧といったメニューはありません。そのため鍼の技量が全てです。ただ、抜鍼後に刺激を緩和するマッサージ(軽擦や揉捏)は行います。

◆患者層について

当院は、目や耳の症状の患者さん多いです。ただ、目や耳の患者さんが多いのは、他よりも治療実績が突出して多いという結果であって、決して目や耳に治療対象を絞っている訳ではありません。自律神経失調や運動器疾患、内臓疾患など、あらゆる主訴の患者さんの治療に取り組んでいます。

◆不妊治療について

当院は、10年前のまだ不妊治療を行う鍼灸院が少なかった時代から、積極的に不妊治療を行っていました。ある時期、あまりにも不妊治療の患者さんが増えて予約が取れない状態が続いてしまったため、100人前後の方が妊娠された段階で初診の募集は休止し、現在に至っています。いずれ、「不妊治療」を、専門治療院(分院)を新たに開設して、再スタートしたいと考えています。