近年、HSP(Highly Sensitive Person:ハイリー・センシティブ・パーソン)という言葉が注目を集めています。日本語に略すと「非常に繊細で過敏な人」という意味ですが、以下のような解説を読むと「自分もHSPかもしれない」と思う人が少なくないと思います。人口の2割がHSPの性質を持つとも言われていますので、実に5人に1人の割合です。(筆者である私自身も、思い当たる節が多々あります。)

HSP(ハイリー・センシティブ・パーソ)の過敏症状

・光をまぶしく感じる
・音をうるさく感じる
・匂いが気になってしまう
・服の線維をチクチク感じる
・目や耳が疲れやすい
・肩が凝りやすく疲れやすい

HSPは単に性格が繊細であるというだけでなく、身体的な過敏性を有する場合があります。例えば、普通以上に光をまぶしく感じたり、ゴチャゴチャした人混みが苦手だったり、様々な音に過敏なため騒音や雑音が苦痛に感じたりします。また、皮膚の感覚も鋭敏で、カサカサした服の線維が肌に合わないといった場合もあります。さらに、香料や化学物質、電磁波などに過敏な反応を示す場合もあるようです。

つまり、外界の様々な刺激物に身体が過敏に反応してしまい、その結果、非常に心身が疲れやすく、眼精疲労や聴覚疲労を起こしやすい体質であるとも言えます。それでは、HSP(Highly Sensitive Person)についてもう少し詳しく解説していきます。

【生まれ持った体質】
人は誰しもが両親から受け継いだ性質・体質を持ち、その後の生活や学習の積み重ねにより、独自の人格を形成します。そのような過程において、HSPは生まれ持った性格・体質であり、後の人格形成によるものではないと言われいます。

【HSPの特徴】
性格的に非常に繊細で、周囲の人達の行動や言動に敏感に反応してしまい、何気ない事でも、深く考えすぎて落ち込んだり、とても気になって気疲れしてしまいます。その代わり、場の空気を読んだり、相手の心を読むのに高い能力を発揮できることがあります。様々なことに思いを巡らせ、情報を深く掘り下げる正確なため、物事に取り組み始めるまでに時間を要することがあります。

体感覚が鋭敏で、光や音や匂いに敏感に反応してしまいます。冷蔵庫の音や時計の音が気になったり、服の線維にチクチクとした刺激を感じてしまったりと、他の人より環境的な制約や苦痛を強いられる場合があります。

人間関係や生活環境を含め、苦手なシチュエーションが多く、疲れやすさを感じたり、生きにくさを感じることが少なくありません。そのため、適応障害や不安神経症、うつ病などになりやすいとも言われています。

鍼灸師である私たちにとって、HSPという概念は、眼精疲労になりやすい人、耳に不調を来しやすい人、肩こりになりやすい人など、感覚が鋭敏がゆえに生じやすい体質的な症状を把握し、その体質に合った治療を行うことが重要となってきます。