首肩は、離れた場所にありますが、両者をつなげる神経ネットワークがあります。この首肩から目につながる神経(頚部交感神経)については、意外と知られてません。ここでは、首の不調眼精疲労について解説します。特に、むち打ちなど、過去に首を痛めた経験のある方などに、出ることがある症状です。

頚部神経のCG

例えば、肺の先端にできた腫瘍により、肩の神経が圧迫されると、まぶたが下がる眼瞼下垂の症状を呈することがあります。これは、パンコースト腫瘍によるホルネル症候群(頸部交感神経麻痺症)と呼ばれます。

このような特殊なケースでなくとも、頸椎捻挫(むち打ち)によって、瞼が開けずらい光がまぶしい目が異常に疲れるといった眼精疲労症状を起こすことがあります。

これは、バレ・リュー症候群(頚部交感神経亢進症)と言い頚部交感神経が刺激されることで、交感神経が接続している目(瞼・瞳孔・ピント調節)に症状が出る場です。目の症状だけでなく、自律神経失調症により頭痛、発汗、めまい、耳鳴り、全身倦怠感などの実に様々な症状を呈する場合もあります。

目につながるに交感神経作用

  • 瞳孔散大
  • ミューラー筋(瞼を挙上する筋)
  • 涙腺減少
  • 目を見開いて遠くを見る

交感神経の働きによって、瞳孔が広がり、瞼が大きく挙上されます。これらの反応は遠見反射、つまり遠くをしっかりと見る場合に起こる反応です。交感神経が優位になると副交感神経の働きが抑制されるので涙腺による涙の分泌量が減少します。

瞼を閉じて目を休めたり、近くを見てリラックスしたい時でも、交感神経が高揚した状態が続くと、目や身体は意に反して緊張状態が続いてしまいます。これが眼精疲労を引き起こすのです。

実は最近になって、むち打ちなどのエピソードが無いにも関わらず、同様の症状を来す患者さんが増えています。原因は、恐らくスマートフォンです。長時間、スマートフォンを見ることで、首を痛め、その跳ね返りとして、目を中心とした自律神経失調症を来す、いわゆるスマホ首です。