ASさん(30歳 男性 大学教員)

症状
パソコンやテレビなど光が出る画面を見た時、電気スタンドを付けて本を読んだ時、目が痛くなる。特に、右目の痛み強く、30分もパソコン画面を見れない。

眼科では、ひどい眼精疲労による三叉神経痛と診断を受けて、目薬や鎮痛剤などの処方を受けたが効果が得られなかった。他にも、ペインクリニック、脳神経外科を受診。MRIでは異常がなく、原因の特定には至らなかった。

一年前に、転職活動を行った際、パソコン画面を良く見ていた。就職がなかなか決まらずに、大きなストレスを抱えていた。現在は、再就職先も決まり、新しい職場で仕事を初めて3か月が経った。目の痛みで仕事に支障が出てきたので、当院を受診。

ご本人は、高度なコンピュータースキルを生かして、職場ではパソコンを活用した授業などを積極的に行っていきたいという思いがあるものの、眩しさでパソコンの画面を満足に見ることができない状況に、精神的なジレンマを強く感じているようでした。眼鏡をいくつも作ったり、星状神経節ブロックなど様々な治療法を試したようですが、どんどん症状が悪化していく状況が、さらに不安を助長してる様に感じました。

【一番辛い症状】

光を発する画面や、明るい部屋での作業時に、右眼球が奥まで締め付けられる痛みが生じ、顔の右半側にズキズキと放散するような痛みが持続するとのことでした。

強度近視ですが、目には病気などの異常はありませんでした。尚、子供の頃にサッカーボールが右目に当たり網膜裂孔を来しましたが、レーザー治療で後遺症なく完治しています。

初診時は、触診にて首肩のコリが強く、身体全体が過度の緊張状態がありました。一方、実際に痛みを発している顔面部は他覚的に圧迫しても痛みは感じないとのことでした。中肉中背で、食欲もあり胃腸などには問題はないとのことであった。睡眠の質は良くなく、目や顔の痛みで熟睡できない日が多いとのことでした。

目が疲れるという症状もさることながら「目の周りが痛い」ことから、眼精疲労性疼痛の存在を考慮し、光刺激によって誘発される三叉神経過敏を抑制する治療が必要だと感じました。幸い、眼周囲や顔面部に鍼施術を行っても、痛みを誘発したり、症状が増悪する様子はありませんでしたので、顔面部は右目周囲を重点的に30本程度の鍼を行い、目を含めた首肩背中の治療を週1回の治療ペースで行いました。

症状の軽減まで半年かかりましたが、治療開始から1年後には症状は、ほぼ消失。そして、ご本人は都内にマンションを購入し、婚活や海外留学など、新たな未来への希望を治療中に語ってくれるようになりました。その後、一年間の海外留学へと旅立たれました。