キワード】
IT眼症、VDT症候群、テクノストレス眼症、デジタル眼症

【はじめに】
子供から大人まで、眼精疲労を考える上で、パソコンの作業環境は非常に大事です。リモートワーク、テレワーク、リモート授業、長時間のゲーム、動画視聴など、視覚環境における急速な変化の波が押し寄せています。子供の目は大丈夫なのか?と職業がら心配にもなります。

正しい知識を身につければ、眼精疲労を回避、または軽減できるかもしれません。そこで、私の眼精疲労経験からモニター選びや目に優しいPC作業環境について考察をしてみたいと思います。

この点は、モニターメーカーのEZOのホームページが参考になります。ちなみに、EZOのモニターは高額ですが眼精疲労軽減モニターとしては最強だと思います。

液晶モニターの基本的構造

液晶モニターは、基本的にバックライト、そして色彩を生み出す液晶パネル(ステンドグラスのイメージ)の二重構造になっています。また、イラストにもあるように基盤回路やフィルターやなどの多重構造となっています。バックライトを完全に遮断した部分は黒となります。最近のバックライトにはLEDが使われるのが一般的です。

液晶パネルの種類(TN、VA、IPS)

まずは、液晶パネルの種類を見ていきましょう。どのような液晶パネル(色彩の駆動方式)を採用しているかによって、モニターの特徴が異なってきます。その方式には、TN方式、VA方式、IPS方式の三つがあり、質と視野角にも関係する要素です。

TNTwisted Nematic方式

広く普及している液晶モニターで、安価なモニターで使われることが多い方式です。Twistとあるように、液晶粒子に「ねじれ」を起こして色を表現する方式です。見る角度によって見えにくさが生じるため複数人で同じモニターを見る場合には不向きで、広角に難がでます。

VA(Vertical Alignment)方式 

大型TVや高性能モニターに採用されている方式です。黒色の再現性が高いのが特徴です。Verticalとあるように、液晶粒子が「垂直変形」を起こして色を表現する方式です。価格は高くなります。

IPS(In Plane Switching )方式

少し説明が専門的すぎるので割愛します。高性能で高価なモニターに採用されている。視野角が極めて広く、色のにじみが少ない。

次は、フルHD液晶と4K液晶など「今さら聞けない話」を解説します。

液晶パネルの次は、解像度(映像の最密度)のについてです。皆様もHD、FHD、4Kという言葉は聞きなれていると思います。これは、どれだけ映像がキレイに写せるかに関係します。但しいくら4K対応と言っても、映像源が劣化版だと意味がありません。ハイレゾ音源と同じですね。

画面の解像度と眼精疲労

昔のパソコンは、文字や画像のドットが荒く、目が疲れやすかった気がします。現在は、FHDや4Kとった超高解像度のモニターもあります。私の経験からすると、解像度が高いモニターは目が疲れにく、と思います。これはあくまで、「同じ映像を見る時」や「同じ作業をする時」での比較です。以下、箇条書でまとめます。

  • 解像度が高い=光の粒の密集度か高い=キレイな映像
  • HD・FHDはハイビジョンのこと
  • UHDはウルトラハイビジョンの略
  • HDは1280×720
  • FHDは、1920×1080
  • 2Kは1920×1080
  • UHDは3840×2160
  • 4Kは4096×2160
  • 8Kは7680×4320

フリッカー現象と眼精疲労

次は画面のチラつきについてです。これに関しては、バックライトの光量を制御する技術方法の違いによって、PWM調光DC調光に分かれます。

かつてのテレビはビデオで撮影すると、波のような横線が映ったのは記憶にあるでしょうか。もう昔の話ですかね。

昔のテレビは人間の目に認識できないレベルで画面が点滅していました。これはフリックカーという現象です。現在でも、PWM調光を採用している液晶モニターは、明度が暗いほど、このフリッカー現象を起こします。これにより私たちの目に眼精疲労が起こるのは言うまでもありません。

しかし最近の液晶モニターは、ビデオで撮影しても横線は出ないものがほとんどです。これはDC調光(DC扇風機もありますね。)といって、モニターのバクライトの電流量をダイレクトに調整する仕組みを採用しています。ただ、DC調光は暗い画面で色のコントラストが低下する問題がありますが、眼精疲労を考えるとDC調光方式の方が良いでしょう。こちらは、フリッカーフリーモニターとも呼ばれています。

モニターへの「映り込み・反射」と眼精疲労

まずモニター本体には「光沢液晶」と「ノングレア液晶」という画面タイプがあります。光沢紙とマット紙に似ています。光沢があるとグラフィックや映像などが非常に見栄えがよいのですが、周囲の環境によっては、映り込みや照明の反射などが起こりますので、眼精疲労を考えると光沢は抑えめにしたほうが良いでしょう。フィルターなどで調整できますので、試してみてください。

ブルーライトと眼精疲労

次は、液晶モニターのブルーライト問題です。皆さんが一番気になるのが、PC作業やスマホ操作時のモニターから出るブルーライトではないでしょうか。ブルーライトに関してはこちらをご覧ください。特にお子さんが使用するモニターには気を配りましょう。

ここでは実際にブルーライトを軽減する方法を説明します。

  • ブルーライトカット眼鏡をかける
  • モニターにブルーライト防止フィルムを貼る
  • モニターの「輝度」と「色合い」を調整する。

まず、明るすぎるモニターや暗すぎるモニターは眼精疲労の原因になります。

モニターが明るいということは、光のエネルギー量も強いので、相対的にブルーライトの量が多くなります。そのため、明るさを、丁度よい明るさに調整するとブルーライトは軽減できます。

次は色合いの設定です。これはモニターにより呼び方が異なりますが、基本的には赤・緑・青(RGB)のバランスを調整することです。Windows10を搭載したノートPCだと「夜間モード」に該当します。

青=ブルーライトと考え、青色濃度を少し下げるとブルーライトは軽減します。画面は全体的に黄色っぽくなります。

なぜ夜間モードかというと、ブルーライトによって、脳の概日リズム(サーカディアンリズム)が狂い、不眠症が引き起こされることがあるからです。夜にPCを見る時は、なるべくブルーライトを抑えたほうが良いという、医学的論拠に基づいた設定です。

尚、ブルーライトカット機能やブルーライトリダクション機能といったものは、今のところ、上記の設定を判り易くした、調整しやすくした、というレベルであって、全く新しい技術を搭載したものではないようです。

液晶モニターの大きさと眼精疲労

B5型ノートPCなどは持ち運びには便利ですが、画面が小さいのが難点です。画面が小さいと、作業スペースが狭くなり文字も小さくなります。

10代の頃は、どんな小さな文字も見えたかもしれません。しかし、年齢とともにピント調節機能は低下し、小さい物を識別しにくくなります。小さいものを頑張ってみようとしると、目の筋肉に負担がかかり眼精疲労が増加します。

長時間見たり、複雑な作業をする場合は、大きめの液晶モニターが良いでしょう。しかし、大きい画面は、それだけ光が発するエネルギーが強く、逆に目に負担が掛かってしまいます。

モニターサイズの選択は、個人差や好みがありますので、小さすぎず大きすぎず、自分の作業内容に合ったモニターサイズを選ぶのがよいでしょう。

モニターの角度・位置と眼精疲労

次にモニターの位置についての話です。これはドライアイや眼位異常、首肩や背中のこりに関係してきます。モニターを選ぶ際は、モニターの角度をどこまで調整できるか、机からの高さ(首の長さ)を調整できるか、などがポイントになります。ノートPCでは液晶画面の開く角度が、PCモニターでは支台(首の高さ)が重要です。

実施にPC作用を行う際、モニターの位置は、正面か、やや下側が良いとされます。それはドライアイと関係します。モニターが目線より上側にあると、上目使いになり眼球表面の露出面積が増えます。その結果、涙の蒸発が増えドライアイになりやすいとうことです。

また、まぶたをパッチリ、大きく開けるにはミュラー筋(交感神経)を使います。少し目線が下になるぐらいの位置の方が、涙の蒸発が少なく、まぶたへの負担も軽減します。さらに、まぶたを大きく開いていると、それだけ多くの光エネルギーを見に取り込むことになるので、眼精疲労になりやすいです。

モニターが斜めに設置されている場合も注意が必要です。これは、身体は正面で、首をひねってモニターを見るという姿勢のことです。この姿勢は首に大きな負荷がかかります。また、片方の目で見る癖がついてしまうと、両眼視機能に問題を生じたり、眼位にズレを生じるなど、視機能に影響が出る場合があります。