ピント調整の仕組み

ピント調節に関わるのは、水晶体毛様体筋チン小帯という組織です。

水晶体(クリスタルレンズ)は、角膜の後方にある透明なレンズです。水晶体は、水分を多く含んだ弾性繊維から成り、毛様体筋に360度周囲を、糸(チン小帯)で固定されています。特に毛様体筋はピント調節筋とも呼ばれ、この毛様体筋の疲労が眼精疲労の原因の一つと言われています。

水晶体は、角膜と共に光を屈折させ、網膜の中心部分に光を収束させる役割を持っています。また、水晶体は非常に弾力性のある組織で出来ており、毛様体筋の働きにより、厚くなったり、薄くなったり形が変形することで、ピント調整(オートフォーカス)を行っています。

尚、透明といっても完全な透明ではなく僅かに黄色みがあり、太陽の紫外線を吸収・遮断することで網膜を有害な光から守っています。加齢とともに黄色みが増し、さらに褐色に濁ってくる場合があります。

水晶体は、毛様体筋に付着した「チン小帯」でピンつと引っ張られた状態で固定されています。この糸が緩むと水晶体はテンションから解放されて厚くなります。

通常、遠くを見ている場合や安静にしている時は、水晶体は薄く、近くを固視した場合に水晶体は厚くなります。つまり、ピント調節には毛様体筋の緊張が深く関わっています。長時間、PCやスマホ画面を見続けると、毛様体筋が常に緊張状態になるので、筋疲労が起こります。これはピントフリーズ現象と呼ばれてます。

子供の水晶体は水分が多く柔軟性に富んでいるので、強いピント調節力を有しています。しかし、加齢と伴に水晶体は水分と弾力性が減少して硬くなっていきます。固い水晶体を一生懸命に変形させて、頑張て近くの物を見続けることで、毛様体筋に大きな負荷がかかります。特に、30代以降は眼精疲労になりやすいので注意が必要です。

また、もともと視力が良い人や、眼鏡コンタクトの度数が強めの人は、水晶体を「より厚く」しなければ近くにピントが合わないので、眼精疲労になりやすいと言えます。

毛様体筋の緊張を緩和するには?

一番は目を休めることです。(これが出来れば、そもそも眼精疲労に悩まず、このページを読んではいないでしょう。)

毛様体筋への血流を良くする(目を温める。)、身体をリラックスさせる。これには当院の鍼治療が有効です。

眼鏡やコンタクトレンズの度数を調整する。

毛様体筋の緊張を緩める点眼液を眼科で処方してもらう。

遠近両用の眼鏡をかける。
遠近両用の眼鏡やコンタクトレンズは、いわゆる老眼世代を対象とした矯正方法です。しかし近年は、老眼とは無縁の若い世代でも、弱ったピント調節力を補う手法として「遠近両用の眼鏡」を推奨している眼科医療機関もあります。