眼球内は水分で満たされ、一定の圧が保たれています。その水分の内容は、眼房水(サラサラした水分)と硝子体(どろっとしたゲル状)に分かれます。それぞれの機能を見ていきましょう。

眼房水

角膜と虹彩の空間を前眼房、虹彩と水晶体の空間を後眼房といい、いずれも眼房水で満たされています。眼房水は毛様体上皮から分泌され、後眼房から虹彩をへて前眼房へと流れ、角膜と強膜の境界部にある強膜静脈洞(シュレム管)から眼静脈へ吸収されます。

眼房水の分泌と吸収のバランスにより眼圧が正常(10mmHg~20mmHg)に保たれています。このバランスが崩れると眼圧が上昇するなどして、緑内障のリスクが高まります。緑内障の治療は、この眼房水の分泌と吸収を点眼薬によってコントロールするのが標準治療となっています。

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眼房水のもう一つの役割

眼防水は眼圧を一定に保つほかに、眼球組織に栄養を供給するという大切な役割を担っています。特に水晶体や角膜は無血管組織ですので眼房水からの栄養供給に大きく依存しています。角膜細胞は涙液からの栄養供給を受けると同時に、角膜内皮細胞が吸い上げる眼房水からも供給を受けています。一方で、この角膜内皮細胞の数が減少してしまうと、角膜内の水分代謝が上手くできず角膜浮腫を起こしやすくなります。

硝子体

水晶体と網膜の間にある無色透明なゼリー状の物質で、大部分は水分からできています。眼球の後ろ3/5を占め、眼球の内圧を一定に保っています。鍼灸の臨床上においては、飛蚊症(ひぶんしょう)や後部硝子剥離、また硝子体出血や硝子体混濁という症状について知っておく必要があります。

硝子体剥離について