◆頸部の筋(後頭下筋群)と肩の筋肉と目の関係

当院では、首の各筋肉が、目で物を見る際に果たす役割に着目しています。特に、後頭下筋群を「第二の眼筋」と総称し、ピント、眼球運動、瞼の動きをコントロールする目の支持筋として治療を行います。以下、首の筋肉について目との関係性をまとめます。

◆首の筋肉は第一に「浅層筋」と「深層筋」に分けられます。

浅層筋≒頭部の大きな制御(大きな動き)

僧帽筋、肩甲挙筋、板状筋、頭半棘筋(中層)など

深層筋≒眼部の動きの制御(細かい動き)

後頭下筋群(大後頭直筋、小後頭直筋、上頭斜筋、下頭斜筋)など

※互いの役割を補完し合う。

浅層筋肉は体幹の大きな動きを制御するための筋肉が中心です。例えば、遠くを見る時です。対象物に視点を合わせる場合は、眼球よりも体幹や頭頸部を動かす筋肉が活用されます。その代表格が僧帽筋、肩甲挙筋、板状筋、脊柱起立筋です。

一方、近くを見る時は、体幹や頭頚部は固定された状態になりますので、眼球の動きをサポートする筋肉が、より活動します。それが、後頚部深層筋の後頭下筋群です。後頭下筋群は、眼球運動、瞼の保持、ピント調節をする際の力学的支持点となります。つまり、後頭下筋群は近用作業において、物が見やすいように眼球や瞼、頭部の微妙な傾きを支えコントロールする筋肉と言えます。ビデオカメラでいう「手振れ補正」の担い手です。

近年、眼精疲労は、目の酷使によって後頭下筋群が過緊張を起こし、その結果、様々な不定愁訴が生じることが分かってきました。その代表が、頭痛(後頭部痛)、めまい、吐き気、耳鳴り、自律神経失調症です。さらに、後頭下筋群の特徴についてみていきましょう。

後頭下筋群は、近方固視の際に、前のめりになる頭部を後屈させ、視線を保持するという働きが強く、眼精疲労の患者の多くは、上項線のあたりが痛む・凝る、という症状を有しています。

【大後頭下筋】
・起始部:軸椎の棘突起
・停止部:上項線の中間1/3

■作用
・両側が収縮すると頭を伸展(後屈)させる
・片側が収縮すると頭を同側に回旋させる

【小後頭骨直筋】
・起始部:環椎の後結節
・停止部:上項線の内側1/3

■作用
・両側が収縮すると頭を伸展(後屈)させる
・片側が収縮すると頭を同側に回旋させる

【上頭斜筋】
・起始部:環椎の横突起
・停止部:大後頭直筋の上部

■作用
・両側が収縮すると頭を伸展(後屈)させる
・片側が収縮すると頭を同側に側屈させる

【下頭斜筋】
・起始部:軸椎の棘突起
・停止部:環椎の横突起

■作用
・両側が収縮すると頭を伸展(後屈)させる
・片側が収縮すると頭を同側に回旋させる


眼精疲労性後頭部痛と慢性頭痛の関係

最近の研究では、後頭下筋の一部が結合組織を介して脳の硬膜につながっていることが分かっています。後頭下筋の伸縮によって硬膜にテンションが生じ、脳圧・脳血流などの調整が行わています。

そのため、後頭下筋が過緊張を起こすと硬膜が異常に引っ張られた状態になり、頭痛などが起こりやくなります。そして、後頭下筋群の過緊張を引き起こす原因のひとつが、目の酷使という訳です。例えば後頭下筋は、PCやスマホ画面を長時間見る際の不良姿勢によって過緊張が起こります。


◆目と頭痛と後頭下筋と特化したしスマート鍼灸のご案内

当院では「眼精疲労=眼鍼」「慢性頭痛=頭鍼」「後頭下筋痛=首鍼」をセットまたはオプションとした専門的な治療を行っています。