睡眠と覚醒には2つの物資の拮抗(シーソー)が関与しています。睡眠の誘引には、体内の細胞でつくられるアデノシンの量(睡眠圧)が関係しています。 一方、覚醒の誘因には視床下部でつくられるオレキシンの量が関係しています。
つまり、アデノシンが増えてくると眠くなり、オレキシンが増えると脳は活発になり起きている状態を維持できます。近年、このオレキシンというホルモンに注目が集まっており、このオレキシンの働きを抑制すれば眠くなるという生理作用に着目して開発されたのが、オレキシン受容体拮抗薬です。医薬品としてデエビゴ、ベルソムラなどがありますが、従来のベンゾジアゼピン系睡眠薬に比べて依存性のリスクが低いと言われています。
そして、皆様の睡眠にも関係してくるアデノシンという体内物質。アデノシンは身体活動により、疲れてくると生産量が多くなり、脳にアデノシンが蓄積してくると睡眠が誘発されます。
コーヒー、紅茶やお茶に含まれるカフェインは、アデノシン受容体に結合することで、アデノシン自体が結合するのを阻害するため、眠気を感じにくくなります。
■睡眠圧について ~なぜ、人は眠くなるのか?~
この現象が「睡眠圧(眠くなる圧)」と呼ばれるものです。脳内に蓄積された睡眠圧(多量のアデノシン)は、大人の場合、8時間ほど眠れば一掃されますが、体内に残っていると、日中でも「何だか眠い」という感覚が続いてしまいます。この起きている間に、アデノシンが脳内に蓄積されて、眠くなる生理現象は、「スニップスのリン酸化」と呼ばれています。