アデノシンとオレキシンの話し
睡眠と覚醒には2つの物資の拮抗(シーソー)が関与しています。睡眠の誘引には、体内の細胞でつくられるアデノシンの量(睡眠圧)が関係しています。
一方、覚醒の誘因には視床下部でつくられるオレキシンの量が関係しています。
つまり、アデノシンが増えてくると眠くなり、オレキシンが増えると脳は活発になり、起きている状態を維持できます。
近年、このオレキシンというホルモンに注目が集まっており、このオレキシンの働きを抑制すれば眠くなるという生理作用に着目して開発されたのが、オレキシン受容体拮抗薬です。医薬品としてデエビゴ、ベルソムラなどがありますが、従来のベンゾジアゼピン系睡眠薬に比べて依存性のリスクが低いと言われています。
そして、皆様の睡眠にも関係してくるアデノシンという体内物質。アデノシンは身体活動により、疲れてくると生産量が多くなり、脳にアデノシンが蓄積してくると睡眠が誘発されます。
コーヒー、紅茶やお茶に含まれるカフェインは、アデノシン受容体に結合することで、アデノシン自体が結合するのを阻害するため、眠気を感じにくくなります。
昼間に極度の眠気におそわれるナルコレプシー
オレキシンが不足する病気として最もよく知られているのはナルコレプシー(過眠症)です。
オレキシン産生する神経細胞の大幅な減少により、日中の過度な眠気、睡眠発作、カタプレシー(感情による筋力低下)、睡眠麻痺、入眠時幻覚などの症状が引き起こされる病気です。