美容鍼×顎関節症(がくかんせつしょう)の治療

顎関節症とは

顎関節の機能と役割

顎関節は耳の前1cmほどに位置し、頭蓋骨(顔骨)と下顎骨(下あご)を連結する関節です。顎関節は、咀嚼(そしゃく)や発声において多種多様な動きができるよう、また強い圧力に耐えられるよう関節円板(かんせつえんばん)に守られています。この顎関節に様々な症状が生じるのが顎関節症です。顎関節症の7割は女性に起こると言われています。

関節円板は、骨と骨の間でクッションの役割を果たしています。関節内で炎症が起きたり、関節のズレなどで組織が圧迫されることで、慢性的な違和感や痛みを生じる場合があり、これを顎関節症といいます。顎関節症が慢性化すると、顎周辺以外にも様々なトラブルを生じる場合があります。特に多いのが頭痛、肩こりです。また、耳鳴り・めまい全身倦怠感など自律神経失調に似た症状を呈すことがあります。

顎関節症の原因

  • 歯並びや噛み合わせの問題 (不整咬合)
  • 緊張やストレスによる関節疲労
  • 顔のコリによる筋緊張、血流障害
  • 歌手やスポーツ選手などに多い軟骨組織の摩耗

顎関節周りのツボ(特効穴)

顎関節の周囲には多くのツボ(経穴)が存在します。特に足の陽明胃経、手の少陰胆経には、顔面部や側頭部をまとう経絡(けいらく)があり、古来より顎痛の痛みなどの治療に用いられてきました。

また、患部に鍼刺激を加えることで、関節周囲の血流を改善し、発痛物質や老廃物を排出できる解っています。発症初期の状態、あるいは軽度の症状であれば、2~3回の治療が目安です。

顎関節を構成する筋肉

顎関節の最大の役割は、咀嚼運動です。顎関節は口を上下に動かすだけでなく、食物を磨り潰すため前後・左右の運動を行います。主に4つの筋肉が顎関節の運動に関与しています。特に側頭筋は歯を強くかみしめた時に緊張するため、筋肉疲労を起こした場合、側頭部痛として自覚されることがよくあります。ですから、片頭痛や緊張型頭痛の原因として顎関節症が疑われるのはこのためです。

筋名称起始・停止と役割
咬筋
(こうきん)
頬骨と下顎骨を結び、下あごを拳上する筋肉。
側頭筋
(そくとうきん)
左右の側頭部と下顎骨を結び、下あごを拳上及び後方に動かす筋肉。
外側翼突筋
(がいそくよくとつきん)
側頭骨と下顎骨を結ぶ、頬骨の裏側にある筋で下あごを前方に動かす筋肉。
内側翼突筋
(ないそくよくとつきん)
側頭骨と下顎骨を結ぶ、頬骨の裏側にある筋で下あごを上に挙げる筋肉。