スマートフォンの普及などで、ネット依存が深刻な社会問題としてクローズアップされています。そして、その背景にある「眼精疲労の問題」もまた深刻です。最近では10代の若者が両親に付き添われて、当院の眼精疲労治療を受けに来るケースも多くなりました。

当院では、眼精疲労において非常に重症な患者さんも、多くいらっしゃるので、やはり眼精疲労は深刻な問題という認識で、この文章を書かせていただきました。

【眼精疲労スパイラル(負の連鎖症状)】

負のスパイラルとは、一般に連鎖的に悪循環が生じることに用いられる言葉です。

さて、何だか最近、目が疲れる、夕方になると瞼が下がってくる、目が霞む、朝起きると目の周りや奥がジンジンする、といった誰でも経験する眼精疲労の症状。気が付くと、それが1週間、1ヵ月と続き、やがて様々な体調不良を伴うようになる・・。

目を酷使すると、まず首肩がコリます。首や肩のコリは背中まで波及し、上半身の筋緊張が慢性化します。首・肩・背中の筋緊張が強いと、瞼が重くなったり、目が乾きやすくなったり、物に焦点を合わせにくくなったり、目の機能が低下します。この段階で、身体や目を休息させようと脳が全身に指令を送ります。これは、活動したいという意思に反して、倦怠感や眠気を引き起こしますが、正常な生体防御反応です。

このような状態で目をさらに酷使すると神経疲労を起こします。眼神経や自律神経の機能が低下し、脳疲労が起きます。このころになると、頭痛や首の痛みが慢性化し、吐き気や胃のむかつき、動悸や息切れなどが生じます。また、目においては、羞明(光をまぶしく感じる)、瞼の痙攣、目の奥の鈍痛、眼球が動かしにくい、目の周りが熱を持つ、目が腫れるなどの症状が現れます。同じく感覚器の耳では、耳鳴りや聴覚過敏、めまいなども生じます。眠りの質も悪くなり、良く寝ているはずなのに身体が怠い。寝ようとしても眠れない。

こうなると、日常生活に支障を来し、イライラ、感情に制御がきかない、不安、無気力、朝起きられない、勉強に集中できない、仕事でミスばかりする、など心身ともに疲弊してしまいます。食事や睡眠など生活リズムが乱れ、免疫力も低下します。また、運動も億劫になり基礎体力が著しく低下します。

目を開けているのがつらい、という状態になりながらも、さらに目を使ってしまう。

ただの疲れ目だったはずが・・・。ここまで深刻なケースは単純に目の酷使のみで生じることはまれですが、多くの場合、目を酷使する状況と、外的なストレス(仕事や家庭の問題、突然事故や病気)などが複数重なり、眼精疲労スパイラルに陥ってしまいます。

当院では、どのような段階でも根気よく治療に取り組むことで、負のスパイラルから脱せるようサポートさせていただきます。ですから、決して希望を捨てないでください。

【眼精疲労の症状をチェック】

■目の症状
□目が疲れやすい
□目がショボショボする。
□目がかわく
□充血しやすい
□目の表面がゴロゴロする。
□目の表面が痛い。
□視界がかすむ。
□物にピントが合いにくくなる。
□物が二重に見える。
□遠くがぼやける。
□目の周囲がこわばる。
□目の周りがジンジンする。
□眼球に圧迫感がる。
□目の周りに灼熱感がある。
□眉間やこめかみに鈍痛がある。
□目が腫れぼったく感じる。
□瞼が下がってくる
□瞼がケイレンする。
□目のくまがひどくなった。
□目の奥がズキズキする。
□液晶画面を見るのがつらい
□眼球の動きが悪いように感じる
□光が眩しく感じる。

■身体の症状
□片頭痛が起こる
□頭がしめつけられる。
□後頭部に熱感がある。
□ふわふわした感じがある。
□顎が痛い。
□胃がムカムカする。
□吐き気をもよおすことがある。
□首肩がこる
□背中がはる
□腕がしびれる
□腰が重だるい
□首がしめつけられる感じがする。
□喉に物がつまったような感じがする。
□呼吸が苦しくなることがある。

■自律神経失調の症状
□全身の筋緊張
□めまい、耳鳴り
□睡眠障害
□目覚めの悪さ
□胃腸障害
□食欲不振
□慢性疲労
□動悸、息切れ、胸痛
□うつ症状
□イライラ
□手足の冷え
□月経異常