当院は「難聴めまいの専門治療」を行っているため、原因不明のめまいを主訴に治療を受ける患者さんも多いです。

めまいの原因は大まかに
1、脳梗塞などで起こる危険なめまい
2、メニエール病など内耳の浮腫みによるめまい
3、耳石などが原因で起こる良性頭位性めまい
4、前庭神経炎などを契機として起こるめまい
5、ストレスや自律神経失調に由来するめまい

そして、当院では比較的治療例の多い「椎骨脳底動脈不全性のめまい」などが挙げられます。近年、首と「めまい」の関連性に関する臨床研究も進み、「頚性めまい」という疾患概念が確立されつつあります。そこで今回は、椎骨脳底動脈不全症について解説します。

6.椎骨脳底動脈不全性のめまいとは?
症状は重く、回転性の「めまい」や浮遊性の「めまい」が長期間続き、吐き気などで食欲も減退し、日常生活に支障を来します。

また、首を一定方向へ捻る、傾けるなどの動作で、めまいが誘発されることもあります。病院で様々な検査を受けても原因がわからず、めまい止めやイソバイドなどの治療でも改善しない、難治性のめまいです。

そして、特に頸椎(首)に異常や疾患がある場合は、椎骨脳底動脈不全性のめまいが疑われます。原因としては、変形性頚椎症、頸部ヘルニア、後縦靭帯骨化症、ストレートネック、または重度の首や肩のこり、などが挙げられます。

椎骨・脳底動脈とは

心臓から出た血液は首を通り脳や感覚器へと送られます。首には主に「椎骨動脈」と「頸動脈」があります。このうち耳と大きく関係するのが椎骨動脈です。椎骨動脈は、連なる頸椎が形成する骨のトンネル(横突孔)を経路としています。

首の後部から頭蓋内に入ると左右の椎骨動脈は一旦、合流して1本の脳底動脈と名前を変えます。この合流地点の直ぐ先に左右に分岐する迷路動脈があり、これら左右の血管を通り内耳(三半規管)に血液が到達します。また、椎骨動脈・脳底動脈から、前・後小脳動脈という小脳へとつながる動脈が伸びています。

構造的に椎骨動脈が頸椎に強く圧迫されると、内耳や小脳への血流が不足してしまうという現象が起こる場合があります。

また、椎骨動脈の内空が動脈硬化により狭くなる場合も同様です。

つまり、椎骨脳底動脈不全性のめまいとは、内耳三半規管や小脳(身体のバランス保持や運動をつかさどる器官)への血流が一時的に不足し、その機能が低下することで起こる「めまい」ということになります。

不全という言葉はいささか重症さを感じますが、血流量の低下といったニアンスで良いと思います。最近では、椎骨脳底動脈不全性のめまいの重症例に対して頸椎を削る外科手術が行われる場合もあるようです。

当院では、鍼治療や頸椎徒手矯正による治療を行っており、著名な改善例もあります。首には基幹血管の他、頸神経、自律神経などの神経系の異常に伴って難聴・耳鳴り・めまいを起こすこともあります。首の不調と「めまい 難聴 耳鳴り」がリンクしていると感じている方は是非一度ご相談ください。