お笑い芸人で盲目の浜田さんが、R-1グランプリ優勝という快挙を成し遂げたのは、とても嬉しいニュースです。

私は、盲学校の鍼灸科出身ですので、生まれながら目に障害があったり、病気などで視覚障害となった友人が大勢おります。そのような中、目に障害がある人が、社会で活躍する姿には、とても勇気づけられるものです。

さて先日、全盲の知人と食事をすることがあり、色々と面白い話を伺いました。

彼は、生まれつき全盲で、鍼灸マッサージの仕事をしています。いわゆるスーパー全盲というタイプで、けた外れの身体感覚を有しています。

そのため、屋外の歩行時などでも、介助は不要で、初めての地域でも、人や物にぶつかることなく、一人でどんどん歩いて行きます。

彼は目が見えなくても、自分と壁との距離、他の歩行者、車や自転車との間隔を認識しながら行動できるのです。

そして、彼が空間認識において最大限に活用しているのが、聴覚だということです。

「スーパー聴覚」
彼の聴覚はオージオグラムの聴覚測定範囲を大きく超えて、音を聞き取ることができるのです。

彼は、自分と障害物との距離を把握する際、「音の反響」や「空気の対流・振動」を捉え、空間全体をイメージするそうです。

ですから、まったく初めての場所でも、壁の構造や、どこにどのような形状の物体があるのかを知ることが出来るのです。

一方で、苦手な環境もあるそうです。それは、スーパー聴覚が機能しにくい環境です。
例えば、満員電車やエレベーターなど狭い空間に大勢の人が密集する場所。また、屋外で雨風が強い時。

そして最近、彼を悩ましているのが「モスキート音発生装置」だそうです。

モスキート音発生装置とは、若者にしか聞こえないとされる高い周波数の音波を利用し、店先や広場などで「若者がたむろす」のを妨害する装置です。
日本でもコンビニや商業ビルの周囲、駐車場や公園などに、設置されています。最近では野良猫を撃退するためにモスキート音発生装置が利用されるケースもあり、いがいに身近な場所で利用されているのかもしれません。

人は通常、年齢とともに内耳有毛細胞が退化して、高音域が聞こえにくくなってきます。20Khz弱などの超高音域は、10代までの若者にだけ聞こえるという性質があります。

しかし実際は、大人でも超高Hzの音を聞き取れる人がいます。

スーバー聴覚によって行動する全盲の友人は30歳代ですが、町を歩いていると、このモスキート音に、超聴覚を妨害されることが多く、その場所を離れても、しばらく頭痛や耳鳴りが続くそうです。

当院は、子供からご年配の方まで、原因不明の耳鳴りに悩んでいる患者さんを多く治療しています。耳鳴りは、ストレスや環境によって増幅しますので、電子機器から発せられる音波や、様々な騒音など、生活環境にも一度目を向けることも大切だと思います。また、大人には聞こえない騒音も、子供には聞こえているというケースもあります。